演奏会の撮影でカメラは何を使う?

最近、石川県内の文化会館の大ホールで行われた定期演奏会の撮影を担当しました。リハーサルでは1階席から、本番では2階席からの撮影。約5時間にわたる撮影で、驚異の1200枚を撮影しました。今回の要望は、演奏者一人ひとりの瞬間を捉えること。これは全体を捉えるよりも望遠レンズを使用するアプローチが求められました。

 

 

目次

  1. 演奏会撮影の基本
  2. 私が使用したカメラとレンズ
  3. オススメのカメラと理由
  4. 撮影のテクニック
  5. まとめ

 

写真は、その特別な日の一部を切り取ったものです。それぞれのショットには、演奏者の情熱が映し出されています。これらの写真を通じて、私の撮影技術と演奏会の魅力を感じ取っていただければ幸いです。

 

1.演奏会撮影の基本

演奏会ではかなり音が響きます。ミラーレスカメラのメカシャッター・電子先幕シャッターは一眼レフよりは静かではありますが、それでも周りに迷惑をかけてしまいます。そのため、音を立てない電子シャッターの使用は必須です。ピント合わせの電子音も切りましょう。

なので、演奏会の撮影は一眼レフより、ミラーレスを強く推奨します。

 

2.私が使用したカメラとレンズ

使用頻度が高かった順に上から並べています。

カメラ

・Cannon EOS R6 Mark2 

・Cannon EOS RP

どちらもミラーレス一眼フルサイズとなります。

レンズ

・RF70-200mm F2.8 L IS USM

・RF50mm F1.8 STM

・RF16mm F2.8 STM

・RF24-105mm F4-7.1 IS STM

撮影の9割がR6mark2+RF70-200mmでした。単焦点は明るいレンズですが、あまり出番はありませんでした。50mmは被写体の距離まで少し物足りず、あまり使いませんでした。

 

3.おすすめのカメラと理由

私自身Cannonユーザーということもあるので、、、Cannonに絞ってカメラをピックアップしていきたいと思います。

 

Cannon EOS R6 Mark2 (ミラーレス・フルサイズ)

 

Cannon EOS R8(ミラーレス・フルサイズ)

 

Cannon EOS R10(ミラーレス・aps-c

これらは常用ISO感度100 ~102400、(R10は~32000)有効画素数が約2420万画素であり、光量が足りないシーンでも高感度設定で、クリアに撮影可能です。このことからシャッタースピードを上げられ、動体撮影にも積極的に挑めます。またCannonの最新のAF性能(Dual Pixel CMOS AFⅡ)であり、難易度が劇的に減少し失敗写真が減るからです。

引用:

キヤノン:your EOS.|EOS Rシリーズ モデル比較

 

私が使用したEOS RPはフルサイズで安価ではありますが、あまりおすすめはしません。理由はサイレントシャッター(電子シャッター)のマニュアル設定ができないためです

R6(R6 mark2の前機)はおすすめではありますがR6を検討するのなら、最新のAFを積んだmark2を+5万を出したほうが良いかと思われます。

 

 

4.撮影テクニック

演奏会では1階席、2階席でレンズの必要とされる焦点距離が変わりますが、100mm以上の望遠レンズをお勧めします。

私は16mmから200mmの焦点距離のレンズを使用しましたが、標準域24mm~70mmはあまり使用しませんでした(今回でいうとRF24-105mm F4-7.1 IS STM)。 広角域は全体を移したいときに使用しました。以下の写真は1階席の中央あたりから撮影した写真になります。レンズは16mmです。

f:id:Sakito_h:20231229192141j:image

 

ISO1000 F2.8  ss 1/125 16mm クロップ無し

 

撮影モードは電子シャッターでマニュアル撮影です。ただしISO感度はオートです。演奏会では明るさが変わるため、オートによる撮影がしやすいです。シャッタースピードはおおよそ100~350の範囲で調整しました。演奏者が動いていることはもちろん、望遠レンズでは手振れが発生しやすいため、シャッタースピードをやや気持ち高めに設定することをお勧めします。目安として、

シャッタースピード焦点距離×2で望遠の時はより意識したほうがいいです。

 

高感度のカメラであれば暗所でもノイズは比較的のらない。 R6mark2で撮影

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ISO 6400 f8 ss 1/320 108mm クロップ無し 2階席前列から撮影

 

絞り値は開放F値~f/11の間で、背景を整理しつつ演出者の目線や空間を意識することです。よく、人物・暗所ではf値を低めにすることを推奨されますが、演奏会では前列から後列までピントを合わせるパンフォーカスが求められることが多いため、背景をボケさせないために絞る(f値を大きく)ことがあります。もちろん一人の人物を撮影するときには開放にします。ただし絞りすぎる(f11以上)と回折現象が起こります。特にaps-cでは起こりやすいと言われています。

ISOはオートで対応し、マニュアルモードで撮影することが基本です。

 

5.まとめ

演奏会の撮影は、演奏者の情熱がファインダー越しに映し出され、私たちに感動をもたらしてくれます。私の体験が、これから演奏会を撮影する方々の参考になれば幸いです。撮影は常に学びの場であり、次回の撮影機会でさらに素晴らしい写真を撮れることを楽しみにしています。

皆さんの演奏会での撮影体験や、お気に入りの機材についてもぜひ教えてください。コメントでの交流を楽しみにしています!

 

 

プロフィール

ライブフォトグラファー。2003年生まれ、Sakito Hashimoto としてInstagramで情報発信をしている。2023年10月から、金沢のバンドメンバー「Flux As」の元から本格的に撮影を始める。その後はアー写など様々な分野での撮影にも取り組んでいる。自身の活動を通して、アーティストと多くの人々の架け橋となり、魅力を伝えていくことを目指している。